プログラミング

CI/CDってなに?

目次Contents

現代のソフトウェア開発において、効率的かつ品質の高いアプリケーションを継続的に提供するためには、CI/CDの導入が欠かせません。CI/CDとは何か、なぜ重要なのか、どのように活用されるのかについて、本記事で詳しく説明します。

1. CI/CDとは何か

CI/CDは「継続的インテグレーション(Continuous Integration)」および「継続的デリバリー / 継続的デプロイメント(Continuous Delivery / Continuous Deployment)」の略です。これは、ソフトウェア開発における自動化と効率化の手法を指し、主に以下の3つのフェーズから構成されています。
• CI(Continuous Integration):開発者が書いたコードを頻繁に統合し、自動でテストを実行して問題を早期に検出します。
• CD(Continuous Delivery):CIの成果物を本番環境へリリースできる状態にまで自動化します(ただし、実際のリリースは手動)。
• CD(Continuous Deployment):Deliveryに加えて、テストに通過したコードを自動で本番環境にデプロイします。

CI/CDはソフトウェア開発の自動化と高速化を実現するためのアプローチであり、DevOps文化と密接に関連しています。

2. CI(継続的インテグレーション)の役割

CIの目的は、コードの変更を頻繁に統合し、問題を早期に発見することです。従来の開発では、開発者は長期間ローカル環境で作業し、最終的にコードを統合してから問題が発覚することが多くありました。しかし、CIを導入することで以下のようなメリットが得られます。
• 変更の可視化:バージョン管理システム(Gitなど)を使ってコードを共有し、誰がいつ何を変更したのかが明確になります。
• 自動テストの実行:新しいコードが追加されるたびに、自動的にユニットテストや結合テストが実行され、不具合の早期発見が可能になります。
• ビルドの自動化:テストをパスしたコードは自動でビルドされ、実行可能な状態になります。

これにより、開発のスピードと品質が大幅に向上します。

3. CD(継続的デリバリーと継続的デプロイメント)の違い

CIの後に続くのがCDですが、CDには2つの意味があります。

継続的デリバリー(Continuous Delivery)
継続的デリバリーは、CIで作成された成果物を本番環境に「いつでもリリース可能な状態」に保つプロセスです。ここで重要なのは、実際のリリースは「人の判断で行う」点です。これにより、リリースのタイミングを柔軟に調整でき、リスクを最小限に抑えることが可能です。

継続的デプロイメント(Continuous Deployment)
一方で、継続的デプロイメントは、テストがすべて通過したコードを「自動で本番環境にデプロイ」します。つまり、開発者がコードをコミットしてから、本番反映までのプロセスがすべて自動化されているという点が特徴です。

継続的デプロイメントは非常に高い自動化レベルを必要としますが、ユーザーへの価値提供を最速で行うことができ、特にWebサービスやクラウドアプリケーションなどの領域で広く採用されています。

4. CI/CDを実現するツール

CI/CDを導入するためには、専用のツールが必要です。代表的なツールには以下のようなものがあります。
• GitHub Actions:GitHubと統合されており、ワークフローをコードで定義できる。
• Jenkins:オープンソースのCI/CDツールで、柔軟性が高く、多様なプラグインに対応。
• GitLab CI/CD:GitLabに組み込まれており、CI/CDの機能が標準で提供されている。
• CircleCI:クラウドベースでスケーラブルなCI/CDを提供するツール。
• Azure DevOps / AWS CodePipeline:クラウドプラットフォームと統合可能なCI/CDサービス。

これらのツールを使えば、ビルド、テスト、デプロイのプロセスをコード化・自動化し、開発の効率と信頼性を向上させることができます。

5. CI/CD導入のメリットと課題

メリット
• 品質の向上:テスト自動化により、バグを早期に検出できる。
• リリースの迅速化:本番環境への反映がスムーズに行える。
• チームの生産性向上:反復作業の自動化により、開発者は本来の開発業務に集中できる。
• 顧客満足度の向上:新機能や修正を迅速に提供することで、ユーザー体験が向上する。

課題
• 初期導入コスト:ツール選定や設定に時間がかかる。
• テストの品質:テストコードの整備が不十分だと自動化の恩恵を受けにくい。
• 組織文化との調整:自動化に対する理解やチーム内の協力が不可欠。

CI/CDの導入には一定の準備と労力が必要ですが、長期的に見れば圧倒的な効果をもたらします。

6. CI/CDがもたらす未来

クラウドコンピューティングの進化、マイクロサービスアーキテクチャの普及、コンテナ技術(DockerやKubernetes)の発展などにより、CI/CDの重要性はますます高まっています。特に、AIやIoTといった新しい技術領域では、開発サイクルのスピードがますます早くなるため、CI/CDの自動化は避けて通れません。

また、テスト自動化だけでなく、セキュリティチェックの自動化(DevSecOps)や、パフォーマンス監視の統合なども進んでおり、CI/CDは単なる開発の補助ツールではなく、ビジネス戦略の一部として位置づけられるようになっています。

まとめ

CI/CDは、現代のソフトウェア開発において中心的な役割を担う手法です。継続的インテグレーションによる品質保証、継続的デリバリーによるリリース準備の効率化、継続的デプロイメントによる本番反映の迅速化を通じて、開発と運用の一体化が実現されます。

開発のスピード、品質、そしてユーザー体験の向上を目指すなら、CI/CDの導入はもはや選択肢ではなく、必要条件であると言えるでしょう。

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